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武弁の庭

こんにちは☆

いよいよ秋も深まって、紅葉の季節が近づいてまいりました。
ここ京都でも紅葉の見どころが数多く点在していますが、その中でもとみに有名な観光スポットといえば南禅寺
国内のみならず海外のガイドブックにも必ず掲載されていて大勢の観光客の方々で賑わっています。

その南禅寺から徒歩1分のところにある名園をご存じでしょうか。
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明治から大正にかけて『国軍の父』『元老中の元老』と称された山形有朋の別荘、無鄰菴(むりんあん)です。
 山形有朋は元長州藩(今の山口県)で足軽以下の低士の家に生まれました。長じては高杉晋作が創設した
 奇兵隊に入って頭角を現し、維新以後は明治政府においてその軍事手腕でもって日本陸軍の礎を築きます。
 底辺の士分だった有朋の得た最高階位は陸軍大将!加えて元帥府に列せられ称号を得たことから
 元帥陸軍大将と呼ばれ、国内外から数多の勲章を受章するなど軍人として最高の誉れを得るまでになりましたが
 有朋自身は常に『わしは一介の武弁』と自称していたといいます。

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出身地である長州は下関の地に初代無鄰菴なる草庵を建てた有朋が、京都の木屋町二条に別荘を構え
第二の無鄰菴とします。その後さらに新しい地に好みの別荘を作りたいと考え、1894年に第三の無鄰菴
建築を開始、日清戦争による一時中断を経ておよそ2年の歳月をかけられて完成したのだとか。
今回はその第三の無鄰菴にお邪魔してみました(^^)
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まるでお茶室のにじり口のような小さな入口を潜ると、そこはしっとりとした深い緑に覆われた空間です。
ほぼ三角形の敷地の広さは約3千平方メートル。数寄屋造りの母屋、藪内流の茶室、煉瓦造り二階建て洋館と
国の名勝にも指定されている広大な日本庭園を擁しています。
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七代目植治(小川治兵衛)の作庭というこちらは、緩やかな傾斜に東山を借景とし疎水の流れを取り入れた
池泉廻遊式庭園ですが、形式に則った純日本庭園よりももっと開放的で近代的な印象です。

ちなみに『無鄰菴』という号は、最初に建てた長州の草庵が隣家のない閑静な場所であったことから
名づけられているのだとか。

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近代日本の国父とまで言われた大人物の別荘としては非常に簡素な造りの母屋は、木造二階建ての数寄屋風。
その母屋から庭に突き出る形で隣接しているのが、藪内流燕庵(えんあん)を模して造られたという茶室です。

そういえば薮内流燕庵ってなんだか聞き覚えがあるな~・・・

実は、数か月ほど前に前を通ってましたwww(関連記事はコチラ

閑話休題(笑)
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母屋の室内も非常に簡素でいかにも質実剛健な士分らしいしつらえです。
中央に小さな坪庭が作られており、天からの日差しがまるでスポットライトのように降り注いでいました。

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母屋および茶室から庭へ出て散策することができます。たっぷりの緑と水に恵まれたその園内を巡ってみましょう。

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敷地の傾斜を生かして中央を流れる鑓水はまるで借景の東山から直接流れ込んでいるような自然さです。
庭全体を緑の美しい芝生が覆い、少しずつ色づき始めた周囲の木立をいっそう際立たせていました。
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これを撮影したのは先週5日の水曜日。今はもっと紅葉が進んで綾錦に染まっていることでしょうね(*´∇`*)ウットリ

さて無鄰菴にはもう一つの建物があります。母屋を挟んで茶室の反対側に建てられた洋館ですが
1階部分には真っ白な漆喰が塗られどっしりと分厚い扉で仕切られており、まるで土蔵のようにも見えます。
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現在は展示室として使われ、無鄰菴と山形有朋についての説明や愛用品、小川治兵衛の作庭についての
説明などが展示されています。
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二階へ上がる階段には踊り場から明るい日差しが差しこんで思ったよりも明るい雰囲気でした。
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二階の間は当時、各要人との会見の間として使われていたそうです。
 日露戦争開戦前の1903年4月21日には、陸軍元帥の有朋の他に、政友会総裁伊藤博文、総理大臣桂太郎、
 外務大臣小村寿太郎と錚々たる重鎮が顔を揃え、強硬な南下政策を続けていた露西亜に対する交渉について
 議論がなされました。これがのちに言う『無鄰菴会議』です。
 国内ではすでに『露西亜討つべし』の気運が高まる中、有朋と政府首脳陣は最後まで外交交渉によって
 戦争を回避する手立てを模索していたのでした。

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壁に描かれているのは江戸時代初期の狩野派による金碧花鳥図障壁画。頭上にもうつくしい漆塗りの格子天井が。

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わたくしの大好きな小説『天きり松の闇語り』の中の『槍の小助』という一章に山形有朋が登場します。
かつて長州の芋侍として命懸けで槍を奮ってきた“槍の小助”すなわち有朋が、数多の勲章と栄誉に飾られた
その半生を一蹴するように『一介の武弁で死ぬるは本望じゃ』と死に臨むまでを描く中で、物語の重要な
キーポイントとなるのが『刃は鋭いが柄の黒漆が剥げ年季の入った五尺足らずの短槍』。(写真左下)

・・・・・かどうかは定かではありませんが(笑)

維新の白刃を切り抜けてきた有朋の士道を見た気がいたしました(*^人^*)
右の画像は有朋が愛用した書架台つきの椅子。こちらはちゃんと説明板があったので本物ですww

幕末から明治大正と激動の時代を一介の武士として生き抜いた山形有朋元帥に思いをはせつつ
無鄰菴を後にしました。
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向かいには『朝粥』で有名な京都を代表する老舗料亭『瓢亭』さんが・・・いつか行ってみたいな~(*^^*)
石塀を這う蔦の葉が美しく紅葉して、まるで真っ赤な音符が並ぶ楽譜のようでした♪

紅葉の秋を楽しんだ後は、芸術の秋と食欲の秋(笑)
次回は素敵ランチと素晴らしい美術の世界をご紹介したいと思います。coming soon!
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コメント

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2014/11/08 (Sat) 02:04 | # | | 編集
鍵コメKさまにお返事です(^^)

政党政治を嫌い社会運動を弾圧しようとした有朋に対する国民の評価は悪く
葬儀の際も国葬であったにもかかわらず、関係官僚がごく義務的に参加した以外
一般市民の参列はほとんどなく非常に寒々しいものであったそうです。
本文でご紹介した浅田次郎の小説『天切り松闇語り~槍の小助』を読んでから
山形有朋という人物に興味を持つようになったんですけど、意外にも
京都の街を愛してくれていたんだと、今回無鄰菴を訪問して嬉しくなりました(*^^*)

こちらこそ心強く背中を押していただいたようなコメントをありがとうございます。
逆にお気を遣わせてしまったかしらと恐縮ですが、またいっそうご縁が深くなったようで
とてもありがたく思っております(*^人^*)

あれから25年。。。
今はもうカラオケBOXで娘と一緒に90点超え目指して熱唱するくらい歌うの好きです(笑)
若い頃の苦悩も挫折も、時間がゆっくりと自分の血肉に変えてくれるものなのかもしれませんね。
これはわたくしの経験と信念でもあるのですが、
心から悩んで悩んで悩みぬいた末の決断は、必ず最善の選択となって返ってくるもの。

どうぞよりよい未来を!

2014/11/08 (Sat) 10:44 | あすも #- | URL | 編集
今回も!

こんにちは〜

素敵な画像と、あすもさんの文才が織りなす
素晴らしいアップ、有難うございます!

瓢亭さんは、妻の友達のお家なので
前はちょくちょく通るのですが
お向かいが、こんな処だなんて全く知りませんでした・・・

建物は簡素と表現できるかと思いますが
会議が行われた洋館と、小川治兵衛の庭は
「素晴らしい‼︎」と言うしかありませんね〜
東山を借景した庭は、ぜひとも拝見したいと思いました!

瓢亭さん・・・
結婚する前から、私も仲良くしてもらっているので
付き合いは25年ぐらいになります
気安く「また寄ってね〜」と言ってもらっているのですが
お値段の方は気安くないので、行ったことはありません・・・(爆)

永観堂さんに、あの様な木鼻があったとは
久し振りにお邪魔しないといけませんね〜
でも東山界隈の拝観料って高いんですよね〜(^^;;

真っ赤に染まった、紅葉の永観堂は
見応え十分なのでしょうが・・・

2014/11/09 (Sun) 11:22 | 花大黒店主 #- | URL | 編集
花大黒ご店主さま

こんばんは(^^)

本文でも書いてましたが、浅田次郎氏の小説を読んで以来、山形有朋という人物に
とても興味を持ちましてその流れで無鄰菴のことも知ったんです。
南禅寺をはじめ周囲の名跡に比べるとややマイナーな存在ですが、ずっと気になっていて
やっと今回、念願がかなったという感じです(*^^*)
お庭の造詣や洋館に残る所縁の品の数々はまさに期待以上!!
たぶん今の時期はますます紅葉が進んで見ごろを迎えていると思いますよ💛

瓢亭さん、奥さまのご昵懇でいらっしゃるんですか?!(@0@)
木乃婦さんといい瓢亭さんといい、なんて羨ましい交友関係だ~!(笑)
瓢亭さんの朝粥定食に出てくる茹で卵・・・(*´∇`*)ウットリ
家でも何度かチャレンジしてみたんですけど、あの絶妙さは素人手には出せませんね~
ぜひよろしくお伝えください(何を?笑)

拝観料~~管理保全のためにも気持ちよく払いたい、とは思うんですけど
かつてはどの神社仏閣も自由に参拝できたことを思うと・・・ね(^^;
ただ、永観堂さんの木鼻は一見の価値アリです☆
今の時期、ちょうど秋の寺宝展が始まってますのでぜひ・・・って寺宝展の
入場料がまた高いっていうぐぬぬ~orz

2014/11/09 (Sun) 20:23 | あすも #- | URL | 編集
こんばんは☆

無鄰菴、凄い日本庭園と建築ですね!
以前、テレビで京の庭師の方の仕事で紹介していた
東山付近の超大豪邸の数々、もしかすると
昔も今も、この辺りにお屋敷・別荘を持つ方々が
国会以上に、日本の方向を決めているのかも?

真っ赤な音符、綺麗ですね!
瓢亭さん、贅沢は言いません
瓢亭玉子だけでも 食べてみたいです。^^

↓飴色ソースの豚テキと添え野菜
食欲を誘われます。(^^)

2014/11/09 (Sun) 22:47 | ボーノ くん #5QqOjfzY | URL | 編集
ボーノくんさま

こんばんは(^^)

一介の中間であった有朋が幕末の動乱を経てこれほどの庭園を擁する別宅を持つまでになった
その半生は知れば知るほど興味深いものがありますね。
無鄰菴の庭園は、東山の借景と疎水の流れが見事に融和して広がりと奥行きを感じられました。
作庭については全然詳しくないのですが、それでもこの素晴らしい日本庭園が
高い美意識と緻密な計算によって造園されたということだけはとてもよく分かります。

娘とわたくしの間では大豪邸を見かけると『悪の巣窟や~』というのがお約束(爆)
マジメに法律守ってたらこんな家建たんやろ~とwww
いやいや勝手に言ってるだけなんですよ(笑)
実際住んでらっしゃる方にどんだけ失礼なんだっていうね(^人^;

塀に這う蔦の葉がとてもリズミカルで楽しそうでした♪
曲名はやっぱり『真っ赤な秋』でしょうか(^^)

ホントあの玉子だけは絶対食べてみたいですよね~(≧▽≦)
いやできれば朝粥定食全部いただけるに越したことないんですけど(笑)

2014/11/10 (Mon) 00:45 | あすも #- | URL | 編集

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